企業の採用増、早期抜擢の動き
企業の採用が拡大に転じ採用の間口を広げたうえでの早期選抜加速や、熟年、若年を問わない大量離職時代への備えと、従来とは違った様子見えてくる。
一日、兵庫県洲本市で開かれた三洋電機の入社式。ホールを埋めた新入社員二百五人は緊張した面持ちこそ同じだが、うち十人には実は特別のコースが用意されていた。
十人は採用時の面接などを通じ選抜された、「入社前からの経営者予備軍」だ。従来の人事制度の常識をはるかに超える、これ以上早くはできない早期選抜。三洋は二年前の入社組からこの制度を導入した。 経営者の卵には、いきなり大きな仕事が回ってくる。制度一期生には入社二年目にロンドン駐在を命じられ国際人事の企画に携わる者やアジア拠点で重要な事業改革チームに加わった者がいる。今年入社の一人はこれから一通りの入社後研修が終わると、直ちに子会社の経営企画部門に配属され、経営を学ぶ。 リクルートは十月、新入社員でも実力があれば入社と同時に管理職に登用する新制度を導入する。
日本能率協会の調査では人事・社員教育の課題に「早期選抜による次世代経営層の育成」を挙げた製造業の経営者は昨年四割に達した。主要企業の来春の大卒の新卒採用は収益回復を反映し、今春に比べ一八・八%増える見通し(本社調査)。だが企業は同時に、社員を選抜する年齢を競うように引き下げ始めた。 背景にあるのは、グローバル化の大きなうねりだ。コマツは経営幹部を育てる「ビジネスリーダー育成制度」の経営の基礎を学ぶコースに、昨年初めて二十代の社員を抜てきした。日置政克・執行役員人事部長は「経営者の気力や体力は四十代がピーク。若手に少しでも早く経営を学ばせないと、とても国際競争に勝てない」と言う。カルロス・ゴーン社長就任以来最多の大卒五百七十五人(前年比約一五%増)を採用した日産自動車。大量採用の裏側で一日から、新入社員にとってはチャンスとリスクが一体となった新人事制度が動き出した。
従来七階級あった一般社員の職位を三階級に集約。新入社員は早ければ八年で課長に昇格できる。課長、部長をそれぞれ三―四年経験した後に取締役になり、五、六年優秀な業績を残せば、四十代前半にはトップへの道が開ける。
2004/03/27:日本経済新聞
日航・日本エア労務改革、諸手当統一を検討
日本航空システム(JAL)が、傘下の日本航空、日本エアシステムの諸手当統一や、客室乗務員の相互乗り入れを検討し始めた。持ち株会社設立によるこれまでの経営統合で、営業拠点統合など当面の作業が一巡したことから、四月の完全統合を機にほとんど手付かずだった労務面の改革に踏み出す。 日本エアは労働組合に諸手当の切り下げを提案した。宿泊を伴う勤務時に支給される「国内乗務旅費」や出張旅費、単身赴任手当などで、日航側の水準に合わせるもの。 現在は日航と日本エアで完全に分かれている客室乗務員のシフトで、今年中にも相互乗り入れを始めることを検討する。シフト編成に柔軟性を持たせ、総人件費の削減につなげる狙い。
2004/03/27:日本経済新聞
大日本スクリーン、定年社員再雇用、子会社を設立。
大日本スクリーン製造は定年後の社員を再雇用する子会社を四月一日付で設立する。給与水準は下がるが、六十歳の定年以降も最長六十五歳まで勤務できる。合わせて、定年後の働き方について全社員が五十五歳時点で「新会社への早期出向」「定年後に新会社に再就職」「新会社に就職しない」の中から一つを選べる新しい人事制度も導入する。
六十歳で新会社への再就職を選んだ場合、年金支給開始年齢の引き上げ時期に連動して新しい定年が決まる。二〇一二年四月以降に六十五歳になる社員は六十五歳まで働くことが可能。ただ、再雇用後の給与は新入社員程度の水準になる。
早期出向の場合、五十五歳で出向すると六十五歳まで、五十六歳だと六十四歳までという具合に出向時点の年齢で勤務期限が決まる。
2004/03/26 日経産業新聞
企業年金制度改革進む
愛知トヨタ自動車は今月十五日に厚生労働省の認可を得て、確定拠出年金を中心にした新たな退職金制度に移行した。退職金を一時金五割、確定拠出年金五割とする。
確定拠出年金は加入者が自分の責任で毎月の掛け金を運用し、成績に応じて将来受け取る金額が決まる。社員に多様な選択肢を提供できるほか、企業にとっては積み立て不足が生じない利点があり、将来の債務・費用増加リスクを軽減できる。
代行部分の返上も急ピッチだ。厚生年金の一部を国に代わって運用・給付する代行部分は運用利回りが計画に達しないと、企業は資産の目減りを穴埋めする負担を強いられる。昨年度までの株価低迷による運用不振で負担が経営を圧迫するケースが多かった。
昨年九月には、これまで積み立ててきた「過去分」を含めて代行資産をそっくり返上することも認められた。今年三月一日までの約半年で三十三件(中部三県)に達している。従来から可能だった「将来分」の返上認可数は一月一日までの一年九カ月で七十七件となっている。
住友電装は一月一日に過去分返上の認可を受けた。月内には厚年基金を解散し、確定拠出を一部取り入れた新制度に変える計画だ。CKDも一月に認可を取得。確定拠出が二割、確定給付年金が八割の体制に移行した。
大手小売業、諸手当廃止、広がる
大手小売業の間で配偶者手当や住宅手当などを見直す動きが広がってきた。産業界全体で業績連動型の給与体系が普及するなか、仕事の成果とは無関係に支給される諸手当をなくし給与や一時金の原資に振り向け、成果主義型の賃金制度を徹底させる狙い。 伊勢丹は今年四月からマネジャー層(課長・係長級)の配偶者手当と住宅手当を廃止する。昨年四月にマネジャーに年俸制を導入、一年間の実績を踏まえ今年四月以降の給与に反映させる。これに伴い、実績に関係なく支給される諸手当を見直す。一般社員の配偶者手当や住宅手当は継続するが、部長級は年俸制を先行して取り入れ、すでに諸手当を廃止済み。ただ子供手当は継続する。 イトーヨーカ堂の今春闘では、暖房費を補てんする寒冷地手当のほか、子供手当などを含む諸手当を本給に組み込む方向で労使間が協議する。今春闘で合意するとみられる。 三越は昨年十一月、新人事・賃金制度を導入したのに伴い、配偶者手当と子供手当を一体支給していた家族手当を大幅に見直した。従来は全社員に扶養家族の人数分の手当を支給していたが、新制度では支給対象者を入社十年以内の社員が中心の「一般職」「専門職」という二つの職位だけに限定。家族手当の対象も配偶者を除き、十八歳未満の子供や重度障害者などに絞り込んだ。 高島屋は昨年六月に家族手当を生活手当として改廃した。現在は被扶養者一人あたり月額七千円を支給しているが、来年六月には被扶養者のうち配偶者を対象外にする予定だ。ローソンも昨年三月に管理職の配偶者手当と子供手当などを廃止している。
:2004/03/18:日経流通新聞
自動車大手、一時金交渉が決着
自動車大手の二〇〇四年春の賃金交渉は、焦点となっている日産自動車の経営側が十六日、年間一時金を組合側の要求通り、過去最高となる六・〇カ月で満額回答する方針を固めた。ホンダは同日、一時金について前年実績を〇・一五カ月上回る六・五五カ月で回答すると発表した。ホンダの回答は労組側の要求を〇・〇五カ月下回るが日産と同様に過去最高水準。これで自動車大手五社の一時金交渉は事実上すべて決着したことになる。
日産、ホンダとも十七日に正式に回答する。
日産の交渉では、ベースアップ(ベア)相当額千円を含む七千円の賃上げについて労使の議論が続いており、カルロス・ゴーン社長が回答指定日の十七日に最終判断し、組合に通知する。
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ただ、今期業績で過去最高益を達成する見通しのうえ、二〇〇四年度が世界で販売台数の百万台上積みを目指すことなどを柱とした中期経営計画「日産180」の最終年度に当たる点を考慮。
さらに、二〇〇五年度からは一段の事業成長を目指す新中期経営計画を実施する予定もあり「計画遂行に向け組合員の意欲・士気の向上を重視する」との判断から一時金について満額回答の方針を固めた。
しかし、ベアについては「中長期的な競争力の低下につながる」(渡辺邦幸常務)として、会社側は依然強い難色を示しており、回答日前日になっても労使の意見の隔たりは大きい。日産は二〇〇四年度から年齢給を廃止して、成果主義を全面的に取り入れた新人事・賃金制度に移行するため、今年がベアを交渉する最後の年となる。
ホンダは労組がベアを要求していない。
ホンダ労組は今回、「一時金の安定化」にこだわってきた従来路線を転換。「安定化」に相当する基本部分を五・〇カ月に抑える一方、今期最高益を更新する好業績を背景に成果配分を一・六カ月とする要求を打ち出していた。
これに難色を示した経営側との交渉が続いていたが、最終的に成果配分部分を一・五五カ月と要求より低くするものの、全体で過去最高となる水準で落ち着いた。
2004/03/17 :日本経済新聞
石播が賃金一律10%削減提案
石川島播磨重工業は15日、04年度からの2年間、全従業員を対象に給与と賞与の一律10%削減することを決め、労働組合側と交渉していると発表した。04年3月期の連結決算の業績のうち、当期利益を従来予想の0円から390億円の赤字に下方修正することになったのを受けた措置。
下方修正は受注工事の損失引当金計上基準をこれまでより厳格化して赤字計上を前倒ししたのに加え、海外プラントや船舶・海洋事業の一部で予想外のコスト増が生じて採算が悪化したため。4年ぶりに無配に転じる。
会社側は業績悪化を理由に新年度から賃金カットに踏み切りたい考えだが、組合側は抵抗する姿勢を示している。
2004/3/18朝日新聞
病院の経営充実度ランキング調査
日本経済新聞社の調査によると賃金制度に成果主義を導入している病院のうち、医師を対象に含めていたのは約八割。「医師の報酬に反映している項目」では、「医業収益への貢献度」(八五・三%)がトップで「症例数」は53.9% 、「手術成績」は四八%、「専門医資格の有無」も41.2%にとどまった。評価が難しいとされる医師の技量より、帳簿上に表れる収益への貢献度を重視する傾向がうかがえる。 こうした背景には、「手術成績と収益への貢献度が必ずしも一致しない」という診療報酬上の矛盾もある。 一方、「患者の評判」46.1%、同僚の「看護師や技師らの評判」も42.2%、「論文の提出本数」(47.1%)、「学会への参加回数」(38.2%)
賃金制度に成果主義を導入している病院では、医師以外にも、事務職員66.7%、薬剤師や技師ら「コメディカル」62.8%、看護師62.0%など幅広く適用。55%が、院長ら幹部職員に適用していると回答した。
2004/03/ 日本経済新聞
日立線、CBプラン導入
日立電線(5812)は三月下旬から退職金・年金制度を見直し、国債の利回りに連動して年金の給付額が変わるキャッシュバランス(CB)プランを導入する。 新年金制度は従来の税制適格年金制度を廃止し、二十一日から「規約型企業年金」に移行し導入する。積立額や年金給付額の計算に用いる利率として過去1年の10年国債利回りの平均値を採用。上限は給付期間が5%、積立期間は4.5%。下限は1.5%か厚生労働省が定める法定下限予定利率の高い方とする。
給付総額は変更せず、年金の給付期間も変更する。従来は終身年金(最低15年間は保証)のみだったが、「保証期間20年間の終身年金」か、10年間または15年間の有期年金の選択制とする。給付開始年齢も60歳定年退職時から前後5年以内に選択可能。退職一時金と選択制にしていた10年間の有期年金は廃止する。 退職給付債務が減少、会社側の拠出金負担も減る。日立線は負担減に伴い2004年三月期に「退職給付過去勤務債務取崩益」として27億円を特別利益に計上する。
2004/03/10

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