厚年・健保、未加入企業の対策強化、社会保険庁が新組織。
社会保険庁は適用徴収対策室を四月に新設し、厚生年金や健康保険の未加入事業所を対象にした加入促進対策に取り組む。新設法人が保険料負担を避けるため加入義務のある厚生年金などに加入しない場合のほか、加入していた企業が脱退する事例が増えているため、強制加入を含む措置を検討する。
厚生年金保険法では全法人と原則として従業員五人以上の個人事業所に加入義務がある。社会保険庁は早ければ来年度から労働保険加入企業との照合などにより新設法人の調査を実施し、未加入の事業所の実態を把握する。新設法人では2〜3割が厚生年金などに未加入とされる。
2004/04/20 :日本経済新聞
AP通信の社員解雇無効、東京地裁判決。
AP通信社東京支局に勤めていた男性(43)が、経営悪化などを理由にした一方的な解雇は無効だとして、同社を相手に社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が二十一日、東京地裁であった。増永謙一郎裁判官は男性の請求をほぼ認め、解雇を無効とした上で未払いの給与の支払いを命じた。
増永裁判官は「人員削減の理由は抽象的で、解雇を避けるために希望退職や賃下げなどの方法を採らなかったことに十分な合理性はない」などと判断した。 判決によると、男性は東京支局の写真部に勤務していた二〇〇二年十月、支局の人件費削減や仕事上の能力不足を理由に突然解雇を通告された。
2004/04/22 :日本経済新聞
45年後のがん労災認定、「アスベスト、吸引が原因」。
社会保険庁東京社会保険事務局が、二〇〇二年に胸部がんを発病した広島市南区の元船員、笠原昭雄さん(71)の申し立てに沿い、「四十五年以上前に従事した作業でアスベスト(石綿)を吸引したのが原因」として労災認定していたことが二十一日までに分かった。 笠原さんは一九五一年に大手海運会社に入社。約六年間、蒸気貨物船の機関員としてボイラーがある燃焼室で働いた。ボイラーは石綿を多量に含むセメントで固定され、パイプにも石綿を使ったテープが巻かれていた。作業は石綿の粉じんが舞う状態だったという。 笠原さんは〇二年十一月、アスベストによる胸膜中皮腫と診断された。発病は労災に当たるとして〇三年十一月に船員保険法に基づく傷病手当金を請求、今年三月末に認められた。
2004/04/21 :日本経済新聞
賃金動向調査から(1)基準内賃金、「格差1.3倍以上」2割強、52%が今後拡大。
日本経済新聞社が実施した二〇〇四年賃金動向調査(一次集計)では、主要企業の平均賃上げ率が七年ぶりに前年を上回った。ただ、成果主義に基づく賃金制度が産業界で広がり、一時金だけでなく月例給与も個人の成果や役割に応じて支払うという経営側の姿勢も鮮明になっている。 調査では、管理職を除く一般社員の月例給与のうち、同期入社大卒社員の基準内賃金について平均年齢かモデル年齢での最大格差について回答を求めた。回答企業(二百九十四社)のうち、最大で一・三倍以上の差があるのは二割強。九五%以上の企業が差を付けているとした。
格差で最も多かったのは「1.1倍から1.3倍未満」とした企業で、全体の四四%を占めた。1.5倍未満の差があるとした企業では、NECソフトが年齢給や固定給がなく、個人の成果に応じて等級を上げる給与制度を採用。三菱レイヨンは仕事や勤務地によって異なる給与体系を導入している。 基準内賃金の格差は1.3倍以内に収まっている例が多いが、多くの企業は成果を重視した一時金制度を導入している。このため組合員でも、年収ベースで見る賃金格差は二倍以上になる企業がある。
五二%の企業は今後、基準内賃金の格差を拡大すると回答した。縮小するとしたのは三社だけ。今年は賃上げ率が七年ぶりに前年よりも拡大したが、定期昇給を廃止する企業も相次いでおり、個人別の賃金格差は今後も拡大しそうだ。
2004/04/20 :日本経済新聞
賃金動向調査から(2)1年で半数がベアゼロに――賃上げ以外の要求拡大。
日本経済新聞社が実施した賃金動向調査(一次集計)で、「ベアなし・賃金カーブ維持確保」を過去一年間で決めた企業が回答企業の約半分の二百一社にのぼった。一九五五年に春闘が始まってからベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)が労使交渉の柱だったが、一年で様変わりしたことが浮き彫りになった。
今年の春闘ではベア要求を見送る労働組合が相次ぎ、要求してもベアゼロに終わるケースも多かった。成果主義に基づく賃金制度の導入を進める企業が急増。名目は定昇に相当する賃金カーブを維持するものの、従業員間の賃金格差が拡大しており、賃金カーブの意義は薄れつつある。
一方、高水準のボーナスや賃金以外の労働条件に関する要求が拡大している。
象徴的なのはトヨタ自動車。二〇〇四年三月期の連結経常利益が過去最高になる見通しだったが、トヨタ労組はベア要求を見送った。一時金は昨年実績より二万円減ったが235万円と高水準を維持。賃金以外では「組合員の年間所定外労働時間を三百六十時間以内にする目標」と「メンタルヘルスケア施策の充実」で労使が合意した。
2004/04/21 :日本経済新聞
埼玉労働局、紛争調整2.9倍の195件、昨年度あっせん、相談は1.2倍に。
埼玉労働局は二〇〇三年度の県内の個別労働紛争解決制度の利用状況を21日まとめた。相談件数は〇二年度の1.2倍だったが、紛争調整委員会があっせんした事案は2.9倍の百九十五件に急増。労働局長が助言・指導したのは一・九倍の百九件だった。労使間で解決が困難な事案が増加している。
同制度は〇一年十月から全国の労働局で始まった。労働局と県内八カ所にある「総合労働相談コーナー」で相談に応じている。労働局長の助言・指導や弁護士や大学教授らで構成する「紛争調整委員会」によるあっせんなどで解決を目指す。
相談件数は四万五千九百四十八件。厳しい雇用環境を映し、解雇に関する相談が多かった。
相談のうち、労働基準法などの違反を伴わない解雇や労働条件の引き下げなどの民事上の個別労働紛争に関する相談は九千五百十六件。法令違反を伴い労働局の監督・指導を求めるものが四千八百四十件だった。
労働局長が助言・指導を行った百九件のうち、三十七件が解決。紛争調整委員会があっせんした百九十五件のうち、解決に至ったのは百十一件だった。 同局は今月から行田労働基準監督署内に「総合労働相談コーナー」を新設するなど労働相談の受け付け態勢を強化する。
2004/04/22 :日本経済新聞
企業年金運用利回り、過去最高の16.2%、昨年度、4年ぶりプラス――R&I調査。
株高追い風により 企業年金の二〇〇三年度(二〇〇三年四月―二〇〇四年三月)の運用利回りは16.2%と過去最高になったようだ。過去最悪を記録した二〇〇二年度のマイナス12.5%から一転した。利回りがプラスになったのは四年ぶり。企業の負担軽減につながり、業績の押し上げ要因となる。
運用利回りは格付投資情報センター(R&I)が厚生年金基金など全国約百五十の企業年金を対象に調査、一月までの実績値と二、三月の推定から算出した速報値。昨年十二月までの利回りは12.4%だったが、1から3月もプラスを確保し、年度利回りをさらに押し上げた。四半期ベースでのプラス確保は四・四半期連続。
年金資産の三割弱を占める国内株式が五一・一%のプラスとなったほか、米国株を中心とする海外株式も円高による目減りを吸収して24.7%のプラス。単純計算では前年度は厚年基金全体の資産が約七兆円増加したことになる。
ただ、二〇〇二年度までの三年連続マイナスで資産は十二兆円以上減っており、目減り分の完全穴埋めにはほど遠い。
2004/04/20 :日本経済新聞
厚労省、年金積立金基準を緩和
厚生労働省は、四月から企業年金が確保しなければならない積立金の基準を一部緩和した。基金が解散した場合にも加入者らへの支給に支障がないとみなす「最低積立基準額」の計算方式を変更。手元の資金が従来より少なくても、制度設計を見直すといった措置をとらずに済むようにする。
今回見直すのは、確定給付企業年金と厚生年金基金に適用する非継続基準と呼ぶ財政計算の仕組み。従来は、将来予定する給付総額を確保するために、二十年国債を中心に手元の資産を運用することを想定していた。四月からは二十年国債より利回りが高い三十年国債を想定する。
今までより利回りが高いとみなすので、将来の給付予定額が変わらなければ、計算上は足元で必要な積立額は小さくてよくなる。各基金は労使で話し合ったうえ、三十年国債の利率前後の想定利回りを定める。
2004/04/04 :日本経済新聞
雇用保険財源の企業j助成金、年度ごとに実績評価――厚労省
厚生労働省は企業向けの助成金支給など雇用保険を財源とする事業を年度ごとに実績評価する仕組みを強化する。全体で約130ある事業のうち80について、助成先企業の従業員離職率など具体的な数値目標を今年度から導入。目標の達成状況を踏まえて、政策効果の薄い事業は廃止を含めて見直す。
厚労省は雇用保険制度の枠内で、事業主負担の雇用保険料(総賃金の0.35%)を財源に、雇用安定、能力開発、福祉増進の3分野で事業主への助成事業などを手掛けている。数値目標を設けた80事業の予算は約2550億円と、全体の半分を占める。
ただ、助成金と雇用増の関係が不透明で、政策効果を疑問視する声が政府内でも強い。このため(1)助成金を受けたことで実際に雇用を増やした企業の割合が7割以上ある(2)助成金の支給対象として企業が雇い入れた従業員の離職率が全体平均よりも低い――などの目標を掲げることにした。
例えば、業績低迷で事業を縮小する企業が従業員を解雇せず、休職などで雇用を続ける場合に助成金を受け取れる「雇用調整助成金」(全174億円)の場合、助成対象企業の従業員の離職率が一般企業より低いことなどを目標とした。雇用継続という政策効果が上がっているかどうか確認できるようにした。
雇用保険財政は積立金が過去5年間で約1400億円減るなど悪化が続いている。これまでも助成金の廃止・縮減など見直しを進めてきたが、明確な目標を設けることで事業の無駄を省く。
2004/04/08
業務請負100万人――製造業「現場」維持へ苦肉の策、厚労省が監視強化。
デジタル家電ブームに沸く電機・精密機械や自動車など日本の製造業は息を吹き返しが、生産現場では正社員が激減し、業務請負会社が“派遣”するフリーターや日系人労働者が急増。その数、推計で百万人。千二百万―千三百万人とみられる製造業就業者の中で、いや応なく存在感が高まっている。人件費抑制を限りなく追求した末の副産物といえる。
三月一日の改正労働者派遣法施行まで、製造業への人材派遣は禁じられていた。しかし、今や給与水準の高い正社員だけでは海外企業と闘えない。耐えかねた企業が続々と生産拠点を中国などに移す中、日本にモノ作りを残すため試行錯誤を繰り返すメーカーの間で1990年代以降急増したのが業務請負だ。 メーカーは請負会社に「電池の取り付け」「部品のこん包」といった業務を委託する。請負会社は自社の従業員をメーカーの工場に送り込み、設備を借りて仕事をする。「業務を請け負っている」のであって、「人材を派遣しているのではない」という建前だ。
しかも、請負会社との契約は三カ月から半年単位。契約を更新しなければいつでも人員削減ができる。複数の請負会社を使えば、生産変動に合わせて現場の人員を自在に増減できる。
請負労働者の中には、正社員としての拘束を望まない者もいる。だが多くは正社員を望みつつ、かなわなかった人々だ。そのかなりの部分が健康保険や年金に加入せず低賃金で働いている。
事態を重く見た厚生労働省は請負労働の監視強化に乗り出した。四月一日付で東京、大阪など主要都市の労働局に請負などの労務実態を監視・指導する専門部署を設置し、約二百五十人の監視役を置いた。悪質な偽装請負を正し、「指導に従わない場合は企業名を公表する」(同省幹部)。
トヨタ自動車や松下電器産業のように、三月に解禁された派遣労働者の採用を始める動きも出てきた。グループ会社も含め、状況に応じて正社員、期間従業員、派遣、業務請負といった雇用形態の異なる人員を使い分ける狙いとみられる。
正社員の採用拡大を打ち出す企業も次第に増加。九〇年代後半以降の危機を業務請負の導入で乗り切った大手メーカーの中には、長期的視点から従来の人員戦略でのコスト最優先路線を修正する気配もうかがえる。
:2004/04/02:日経産業新聞
1日付、確定給付企業年金、厚労省が194件認可。
厚生労働省は四月一日付で194件の企業や企業グループなどに対し、確定給付企業年金の導入を認めた。この結果、確定給付企業年金は510件となった。一日だけで前年度認可数の三分の二にあたる企業などが同制度を導入した。
厚生年金の代行部分を返上した厚生年金基金が上乗せ部分の原資を使って導入しているほか、2012年三月で廃止になる税制適格年金を持つ企業が確定給付企業年金に切り替えるケースも目立ち始めた。
確定給付企業年金は2002年4月から施行された制度。毎年度の財政状況のチェックを義務づけるなどして加入者が年金を受け取る権利を保護するのが狙い。
初年度の認可数は15件だったが、2003年度は301件に膨らんだ。今年度は前年度実績を上回るのは確実。
2004/04/02 :日経金融新聞
厚年基金の95%、積み立て不足
厚生労働省が二日まとめた2002年度の厚生年金基金の財政状況で、昨年三月末時点で1656基金のうち95%が積み立て不足となった。不足額の合計は十一兆円と、前の年度末から約四兆円膨らんだ。株価の低迷で運用での損失が大きかったことが響いた。2003年度は株価の回復から積立不足額は減っているとみられる。
収支では保険料などの収入が前年度から千三百億円減り四兆千二百億円。支出では給付費が二千三百億円増え二兆六千億円と膨らみ、保険財政を圧迫した。
2004/04/03 :日本経済新聞
厚労省、年金積立金基準を緩和。
厚生労働省は、四月から企業年金が確保しなければならない積立金の基準を一部緩和した。基金が解散した場合にも加入者らへの支給に支障がないとみなす「最低積立基準額」の計算方式を変更。手元の資金が従来より少なくても、制度設計を見直すといった措置をとらずに済むようにする。
今回見直すのは、確定給付企業年金と厚生年金基金に適用する非継続基準と呼ぶ財政計算の仕組み。従来は、将来予定する給付総額を確保するために、二十年国債を中心に手元の資産を運用することを想定していた。四月からは二十年国債より利回りが高い三十年国債を想定する。
今までより利回りが高いとみなすので、将来の給付予定額が変わらなければ、計算上は足元で必要な積立額は小さくてよくなる。各基金は労使で話し合ったうえ、三十年国債の利率前後の想定利回りを定める。
2004/04/04 :日本経済新聞
国家公務員の退職金増額、特別昇給を廃止五月から
政府は国家公務員が退職する際に、基本給を引き上げて退職金を増額する「退職時特別昇給制度」を五月から廃止することを決めた。「お手盛り」との批判を受け、制度の見直しを進めていた。多くの地方自治体が国と同様の制度を採用しており、廃止の影響は地方にも広がりそうだ。 同制度は人事院規則で定められ、二十年以上の勤続者を対象に退職時に給与水準を一号俸引き上げる仕組み。勤続年数によって差はあるが、退職金が二十万円前後増えるケースもある。
規則では「勤務成績の特に良好な職員」と対象者を限定しているものの、実際にはほとんどの職員が昇給していたため「制度が形がい化している」「実質的な退職金のかさ上げだ」などの批判が国会などでも上がっていた。
:2004/04/03 :日本経済新聞